能動的情工場

詩を載せています 感想、文句、暴言はコメント欄にてお待ちしています

1

放課後。いつもの教室である。神村は何をするでもなくただ座っていた。先の“いつもの”には複数の意が潜んでおり、一日の時間半分を捧げて生活する教室、神村の周囲の席を占拠してスマホゲームに興じている仲間、その仲間達からさほど近くはない所から発せら…

2

朝日。いつもの自室である。向井ははっきりと目を覚ました自分を恨み、布団に頭を入れ潜伏した。先の“いつもの”には複数の意が潜んでおり、一日の大半をここで浪費する部屋、壁にもたれかかっている綿の詰まった仲間、その壁の向こうから微かに聞こえてくる…

Baikai

オン・エアー 高性能ラジオ 貴方の脳髄に響けラジオ 高性能ラジオは貴方に語りかける 電話線も糸もタネも仕掛けもない 魔法みたいに見えるラジオ 高性能ラジオは貴方に語りかける 貴方は何も言わずに家を出る 空っぽの部屋に響けラジオ 気まぐれで外へ出た貴…

Symbolic

廃れ 廃れ 寄り戻し 廃れ 絵の振り 振り 揺り戻し 振り ごめんね 紙の月 壊した 壊した 壊したの ごめんね 背が 背が低くて 背が低いと困っちゃう 星 星 あの星にぼくが届かない! 記号的なものはずっと廃れない ずっと綺麗なまま消えていくの 記号的なもの…

Illustrator

道の途中 歩く速度と虹のスピード 重なりあってまたあした 僕が持ってるケータイの中 名も知らぬ国の王様が ピストル咥えてうなだれていた 巻き戻したら生き返った また同じ太陽が昇ったら みんな仲良く手を取り合って 一緒に走ろう なんて綺麗事 その思想ご…

汽車は東へ

汽車は東へ 果ての無い東へ 嘘も真も無いような そんな東へ 汽笛は福音 ありもしない過去を 引っ張り出して東へ 全て思い出す東へ 車輪が回転 僕は上の空で空転 しかしレールは一つ 昨日の夢で見た東へ 汽車は東へ 窓から顔を出す 蜃気楼の果てに 僕は何を想…

感情の送信 迷い続けて 掛ける言葉が行ったり来たり 8時間ほど壁を眺めている 足の痛みとか 頭の痛みなんてない もし貴方がこの姿を見つけたなら 洒落たタイトルを付けようとするでしょう 気が済んだから玄関を出た 昔の僕なら多分出ていなかった もし貴方が…

Morpho

僕は知っている 春の風はそこまで暖かくなかった事 君の去る影が全部教えてくれた 僕は知っている 冬の終わりには見たことのない雪が降る事も 全部教えてくれた 遠くを眺める君は紅い蝶 伏し目がちになる僕は青い蝶 紅い蝶の君 少し笑う 微光を放つ夜 どこへ…

スクロール

ここは波打ち際 瀬戸際 海の先には何が見えた 独りぼっちの砂浜で わたしはボトルに光を灯す 結局僕らは空想自由帳の中でしか生きられなかった 少し横たわる 微熱だ 無機質な数字を共有したくらいでは 貴方の鼓動なんて伝わらないのに トンネルの出口で トン…

Window

僕らはいつも不完全状態 知らない窓から花火が見えた 砂で描かれた頼りない線の その上を君と歩く光景を ずっと夢みている 君の具合が治った時には 楽しいね なんて言わなくて良くなる 全て良くなるから 眺めなくていいニュースが流れ 有人電車の音が消えた…

不安、夜を迎える

鏡面に映る未来の影 窓の外の雨と重なり 夜を迎える、不安 知ってる貴方と一緒になることに 知らない痛みを覚えてしまって 冷え切る外気を誤魔化すように 意図して頬に息を吹きかける まるでエアコンみたいだね、わたし 少し不器用なこの形 お伽話の裏側 見…

無常且つ

無常 無常且つ巨大で 指先一つ齧り 影は飾り付き 瓶詰めされた希望だとか 音とかが 色付き始める頃合いに 君は居なくなるような気がする 季節は意図せず白く わたしの央から飛び出た闇と 混ざりあったりする 足りないのは何色? 街は風雪により動く わたしは…

Lunar mare

遅めの食卓 サヨウナラ、 迫る未来は気付かないほど お弁当を作っておきました あなたが明日 あなたが明日恐ろしいなにかに勝てるように 神さま 貰ったペンダント、 捨ててもよろしいでしょうか サヨウナラは可能でしょうか 晴れの日は嫌い 「生きるな」って…

Touch

Thermography 見せかけだけの服 夕暮れ 途切れ途切れ また夕暮れ そしてまた途切れ途切れ 一緒に遊ぼ ブランコに座った景色が いつもより輝いてたって 夕日 指で押し込む その姿 そしてまた渡り鳥が Thermography 見せかけで笑うと青く光る 手を繋ごう 手軽…

Particle

流れ降る雪 手加減を忘れて 重なるように 君の手が冷たいな 冬の夜はまるで呪詛みたいで困った いつまでも 悩みとか 悲しみとか 打ち明けたかったのに その所為だろうか 風邪をひいた 今夜は早く寝よう そう思った コッペパンを食べた 買ってきてくれてた そ…

Refrain ver.2.0

夕立 僕の前に立ち 降る雨は汚れた体を穿ち 疑いぶかい子供達が言うには 飛行機雲のしっぽを追いかけてはいけないらしい 真昼の空に連れていかれてしまうから 信じるかい 昨日君に話した秘密は 全部嘘だったから お詫びに詩でも読みましょうか 愛をだらだら…

Glen check

いつしかの霧に包まれてから 君の姿が見えなくなったのは まるで花火を鳴らした後に残った僅かな余韻の様 入道雲の下 電車を待ちながら 季節外れのグレンチェック 追いかけて 5年前がまるで昨日の様 ホームに佇み 俯く このため息が白くなる頃には 僕の背丈…

Illumination

ランプの火はとうに消えた 空を見てる 新しい感情が廻る 夜の星と重なった 特別な価値観も それぞれの答えも はっきりと見える夜さ その浮かれた顔と 誰かの愚痴が止まらない事を 紐付けてもいいかい おやすみ ここに僕の居場所はないから そんな事を言って…

Click

思考回路の僅かな隙間 ターゲット どこで失った? 綱を渡る 失敗 教科書を、忘れちゃった 新しいバイオリンを買いました 不協和音を奏でちゃった 光 お仕置きの時間 目が痛い 静かにしてればいい子になれるのかな 大人になるってこういうことなのかな 日記の…

Sentimentalism

この感情 この感情 つまり センチメンタリズム 確かにそう呼び 無茶して転び また寄り道 法定速度ちゃんと守り 固めた砂を一旦崩した 彼女はいない 耳を澄ませば あの時の歌 口ずさめば夜 もう一度 君の好きなものを 君の好きなだけ 君が好きなだけのものを …

Echo

見つけたものより 失くしたものが多いような そんな気分さ 僕がここに来るのは15日ぶりだっけ ドアが閉まっていたのは 気のせいさ あんなことや こんなことがあったのかい それにしても僕は 何か思い出せそうなくらい 手が熱くなった 何も思い出したくないよ…

自殺A

2018年の少年少女 条件揃いぽんと飛んだ ふわりと吹いた風の所為かも 2018年の冬の朝食 スクランブルエッグにケチャップを添えて 皿に叩きつけよう 2018年の東京シティは きっととても澄んだ空気で 少し脆い肌が傷ついた 12月の少年少女は お澄まし化粧をし…

Hourglass

祭の終わりに感じた肌寒さ 「時代は変わった」なんて君は言う 僕はいつでも此処にいるのにね 街の大きさと夢が反比例 「止まない雨はない」なんて君は言う 耐えろって事かい 渡り鳥が運んできた手紙 「人生は素晴らしい」なんて書かれてて 小さく咳き込みま…

Twilight.s

何気ない光の反射 紙飛行機が描いた軌跡 EYE CONTACT 忘れてた 黒い鳥が落とした忌子 餌を欲しがり街に寝転んだ 群れを成し走るトラックを眺め 何を思うか 何も知らない人の手を握り 幼子は砂の城へ向かう すぐに崩れる王国を眺め キミは何を思うか 花火 キ…

Chameleon

カモフラージュ 擬態したいが期待もしたい 暗い月歩き 道を見つけました 肩をすくめてた過去を拾いました よほど僕に触れられたくないようで そっと元に戻しため息ついた 今年もまたこれを繰り返した 写真から出てこない夏を越した 伸びきった爪を噛んで思い…

Circulation

烏の鳴いた日 朝に鏡を割り テストを受け それなりの おざなりな 理由で そして 夜も更け 過去を殺して 幾何学を学び それなりの それなりの 一日 烏の鳴いた日 朝に鏡を割り テストがあり それなりの 彼なりの 理由で そして 夜も更け 過去を殺して 幾何学…

ハラサキ

デフォルメされた人間模様 夢破れ キミは何処へ向かう 統一化された恋模様 テレスコープは何を映す 追われに追われ 気がつくと 少年はハラサキの地へ足を踏み入れていた そこは今迄の 知ってしまった過去や 知りたくもない未来が 硝子の世界を象っていた 鮮…

カラーワールドの退屈

ああ 素晴らしい人生にカーテンコール 瞼の奥にキノコ雲が 仲良く縄跳びしていたはずなのに たった一つのバグが狂わせた 月の兎が見守る夜に 一夜限りの花火を打ち上げた 一夜限りのパレードが始まった 静まらないかな 玩具の行進 シェルター どこかな 静ま…

I.C.E.(僕と猫と天使と)

Hey、クロミア 皆んな同じ仮面をつけてるから気にしないでよ 見ろよ、口角上がった鉄のお顔がきもちわるいな 燃やすかい? Hey、クロミア 皆んな盲目で踊っているから気にしないでよ 見ろよ、統制が取れずてんやわんやでどっちらけ 燃やそうぜ Hey、クロミア…

染まった

ピカピカのランドセル背負って僕らは旅に出ました ちょっと曖昧空模様 流れる雲が川の様で 足並み揃えて歩き出しました あの子は何を眺めてるのだろう 一つだけ質問してみましょうか 「サイダーの色に染まりたいな」 微笑む顔がとても良くて 踏切がうるさく…