能動的情工場

詩を載せています 感想、文句、暴言はコメント欄にてお待ちしています

2019-01-01から1年間の記事一覧

1

放課後。いつもの教室である。神村は何をするでもなくただ座っていた。先の“いつもの”には複数の意が潜んでおり、一日の時間半分を捧げて生活する教室、神村の周囲の席を占拠してスマホゲームに興じている仲間、その仲間達からさほど近くはない所から発せら…

2

朝日。いつもの自室である。向井ははっきりと目を覚ました自分を恨み、布団に頭を入れ潜伏した。先の“いつもの”には複数の意が潜んでおり、一日の大半をここで浪費する部屋、壁にもたれかかっている綿の詰まった仲間、その壁の向こうから微かに聞こえてくる…

Baikai

オン・エアー 高性能ラジオ 貴方の脳髄に響けラジオ 高性能ラジオは貴方に語りかける 電話線も糸もタネも仕掛けもない 魔法みたいに見えるラジオ 高性能ラジオは貴方に語りかける 貴方は何も言わずに家を出る 空っぽの部屋に響けラジオ 気まぐれで外へ出た貴…

Symbolic

廃れ 廃れ 寄り戻し 廃れ 絵の振り 振り 揺り戻し 振り ごめんね 紙の月 壊した 壊した 壊したの ごめんね 背が 背が低くて 背が低いと困っちゃう 星 星 あの星にぼくが届かない! 記号的なものはずっと廃れない ずっと綺麗なまま消えていくの 記号的なもの…

Illustrator

道の途中 歩く速度と虹のスピード 重なりあってまたあした 僕が持ってるケータイの中 名も知らぬ国の王様が ピストル咥えてうなだれていた 巻き戻したら生き返った また同じ太陽が昇ったら みんな仲良く手を取り合って 一緒に走ろう なんて綺麗事 その思想ご…

汽車は東へ

汽車は東へ 果ての無い東へ 嘘も真も無いような そんな東へ 汽笛は福音 ありもしない過去を 引っ張り出して東へ 全て思い出す東へ 車輪が回転 僕は上の空で空転 しかしレールは一つ 昨日の夢で見た東へ 汽車は東へ 窓から顔を出す 蜃気楼の果てに 僕は何を想…

感情の送信 迷い続けて 掛ける言葉が行ったり来たり 8時間ほど壁を眺めている 足の痛みとか 頭の痛みなんてない もし貴方がこの姿を見つけたなら 洒落たタイトルを付けようとするでしょう 気が済んだから玄関を出た 昔の僕なら多分出ていなかった もし貴方が…

Morpho

僕は知っている 春の風はそこまで暖かくなかった事 君の去る影が全部教えてくれた 僕は知っている 冬の終わりには見たことのない雪が降る事も 全部教えてくれた 遠くを眺める君は紅い蝶 伏し目がちになる僕は青い蝶 紅い蝶の君 少し笑う 微光を放つ夜 どこへ…

スクロール

ここは波打ち際 瀬戸際 海の先には何が見えた 独りぼっちの砂浜で わたしはボトルに光を灯す 結局僕らは空想自由帳の中でしか生きられなかった 少し横たわる 微熱だ 無機質な数字を共有したくらいでは 貴方の鼓動なんて伝わらないのに トンネルの出口で トン…

Window

僕らはいつも不完全状態 知らない窓から花火が見えた 砂で描かれた頼りない線の その上を君と歩く光景を ずっと夢みている 君の具合が治った時には 楽しいね なんて言わなくて良くなる 全て良くなるから 眺めなくていいニュースが流れ 有人電車の音が消えた…

不安、夜を迎える

鏡面に映る未来の影 窓の外の雨と重なり 夜を迎える、不安 知ってる貴方と一緒になることに 知らない痛みを覚えてしまって 冷え切る外気を誤魔化すように 意図して頬に息を吹きかける まるでエアコンみたいだね、わたし 少し不器用なこの形 お伽話の裏側 見…

無常且つ

無常 無常且つ巨大で 指先一つ齧り 影は飾り付き 瓶詰めされた希望だとか 音とかが 色付き始める頃合いに 君は居なくなるような気がする 季節は意図せず白く わたしの央から飛び出た闇と 混ざりあったりする 足りないのは何色? 街は風雪により動く わたしは…

Lunar mare

遅めの食卓 サヨウナラ、 迫る未来は気付かないほど お弁当を作っておきました あなたが明日 あなたが明日恐ろしいなにかに勝てるように 神さま 貰ったペンダント、 捨ててもよろしいでしょうか サヨウナラは可能でしょうか 晴れの日は嫌い 「生きるな」って…

Touch

Thermography 見せかけだけの服 夕暮れ 途切れ途切れ また夕暮れ そしてまた途切れ途切れ 一緒に遊ぼ ブランコに座った景色が いつもより輝いてたって 夕日 指で押し込む その姿 そしてまた渡り鳥が Thermography 見せかけで笑うと青く光る 手を繋ごう 手軽…

Particle

流れ降る雪 手加減を忘れて 重なるように 君の手が冷たいな 冬の夜はまるで呪詛みたいで困った いつまでも 悩みとか 悲しみとか 打ち明けたかったのに その所為だろうか 風邪をひいた 今夜は早く寝よう そう思った コッペパンを食べた 買ってきてくれてた そ…

Refrain ver.2.0

夕立 僕の前に立ち 降る雨は汚れた体を穿ち 疑いぶかい子供達が言うには 飛行機雲のしっぽを追いかけてはいけないらしい 真昼の空に連れていかれてしまうから 信じるかい 昨日君に話した秘密は 全部嘘だったから お詫びに詩でも読みましょうか 愛をだらだら…

Glen check

いつしかの霧に包まれてから 君の姿が見えなくなったのは まるで花火を鳴らした後に残った僅かな余韻の様 入道雲の下 電車を待ちながら 季節外れのグレンチェック 追いかけて 5年前がまるで昨日の様 ホームに佇み 俯く このため息が白くなる頃には 僕の背丈…