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何故でしょう どこからか呼ぶ声が聞こえる
怨嗟の声 深い悲しみが向こうの方から
あの先は海 暗く青い孤独な海
押し寄せる波をじっと見ていた
誰もいない岸辺に一人
変わらないままの姿で一人
大きく息を吸い込んだ
澄んだ空気が心を締め付けた
潮騒 荒れ模様の夜
あれは鴎だろうか 僕と同じか
ぼんやりとした頭で考えている
自分の愚かさを重ね合わせた
突然の突風
少し体勢を崩す
足を一歩だけ後ろに引いた
それを見たあの鴎 あの鴎が
大声で泣いた
まるで誰かを呼んでいるように
僕は前を見た
海も泣いていた
深い悲しみが暗く青い海から
僕は僕を見た
僕も泣いていた
深い悲しみが暗く青い僕から
これが共鳴
そしてこれが安堵
苦楽を共に経験してきたような
想いを共有しているような
その感覚が引き寄せた安堵
鴎は永遠になった
海は孤独ではなかった
勿論僕も
突風が止んだ
涙声も
寒気がした
辺りを見回す
鴎は消えていた
海は
なんだ
砂
砂か
笑っちゃった
朝が来ていた
新しい一日
迎える気はない
笑っちゃった
朝が来ていた
新しい一日
迎える気はない