終点
優しい風が僕を包む
優しい僕と君は離れ離れで
楽しいことを思い出しては泣いていた
良い子は海の中のおおきな怪物に
巻き込まれて千切れて粉になっていった
公園の薄汚れたベンチに座っている僕の隣には
色とりどりの烏が邪魔を仕掛けるんだ
さよならと言えれば楽だったかい
笑顔で消えればまた変わっていたかい
そんな事を思いながら
思いながら眠るんだ
ちょっとだけ指が痛んだ
おそらくは風のせいさ
夕暮れの空に向かって叫んだ
きっと僕も見知らぬ誰かになれるって
誰もいない駅のホームでは
憂鬱が僕を手招きしてるんだ
君の背中を追っていたから
なるようになるかなって思ったから
君の姿が見えないから
見ようとしても見えないのだから
もう少しだけ生きようと思った
優しい風が僕を包む
優しい僕はさよならが言えない
夕暮れの空が僕を諭す
優しい僕はさよならも言えない