日記:21時30分
ピアノの音色を聴く
何も無い部屋
高音のアナザーを知る
連絡は未だ何も来ず
幻覚の真相を観る
リアルと巨大な網のようで
君はピアノを弾く
ペースを上げていく
洋服が掛かった部屋
涎が出そうになる
言葉は止まらず吐き続ける
肝心なキーは未だ届かないようで
踝が取れた音がした
場面の暗転
最後くらいは待ってあげてもいいと
そう思うと
布団以外は何もない
そんな部屋
時間が止まる
天井を見る
君が笑っている
そう思うと
僕が馬鹿みたいに笑った
君はピアノを弾く
健気なペースを演じる
いつもより安定した時間
いつまでも続く時間
鉛筆が転げ落ちた
優しい夜が朝を食べるようで
優しい夜が朝を食べるようで
君はピアノを弾く
簡単なベースで応じる
連絡はまだ来ないらしい
骸骨と踊る時間を設けた
濁りが僕を包んだ
退屈以外は何もない
そんな部屋
時間が止まる
椅子を回す
君が笑っている
そんな気がして
僕が馬鹿みたいに思った
君のピアノが止まる
しかし
演奏は続いていた
確実に
確実に
いつまでも続く時間
皆さん
いや
皆様
優しい夜が朝を食べるようです
優しい夜が朝を食べるようです
お見逃しなく
お見逃しなく
そう高らかに声をあげた
そう高らかに声をあげた支配人の目には
涙が
そして拍手が