能動的情工場

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Morpho

 

僕は知っている

春の風はそこまで暖かくなかった事

君の去る影が全部教えてくれた

 

僕は知っている

冬の終わりには見たことのない雪が降る事も

全部教えてくれた

 

遠くを眺める君は紅い蝶

伏し目がちになる僕は青い蝶

紅い蝶の君 少し笑う

 

微光を放つ夜

どこへ行こう?

 

春は出会いの季節だとか

或いはその逆だとか

ありきたりな歌が全部教えてくれた

 

同じ場所に羽根がついてて

偶然だね って笑いあった

そんな日に雨が降り出して

雨が降ったね と笑った

 

遠くを眺める 君は紅い蝶

視線の先に光の街

海の底にいる僕は青い蝶

飛ぼうとして踠いて

踠いて

 

紅い蝶の君が遠くを眺めて

また来るね なんて言って飛んで行った

 

冷たい春の風に吹かれて

また来るね なんて言って飛んで行った

 

スクロール

 

ここは波打ち際 瀬戸際

海の先には何が見えた

 

独りぼっちの砂浜で

わたしはボトルに光を灯す

 

結局僕らは空想自由帳の中でしか生きられなかった

 

少し横たわる 微熱だ

無機質な数字を共有したくらいでは

貴方の鼓動なんて伝わらないのに

 

トンネルの出口で

トンネルの出口で待ってたあの子

冷たい風となって消えた

 

近付くな

結局僕らは空想自由帳の中でしか生きられなかった

 

メタポリタス語でびっしりの黒板

大きく「夢」の字を書けば

この世界が僕のものに思えた

 

波打ち際を走る 風を切る

季節がスクロールしていく

 

時間工場には近付くな

結局僕らは空想自由帳の中でしか生きられなかった

 

波打ち際を走る 風切れる

季節がスクロールしていく

到達点 見失って

貴方を想って何処までも

知らない街を過ぎ

知ってる街を過ぎ

また知らない街を過ぎ

また知ってる街を過ぎ

季節はスクロールしていき

今 知らなかった事を知り

知りたくなかった事も知り

知って良かったなんて言って

この気持ちを初めて知って

気付けば足は蔦に絡まり

貴方の名前が言葉の代わり

 

歯車が回る、

時間工場には近付くな

結局僕は空想自由帳の中でしか生きられなかった

 

 

Window

僕らはいつも不完全状態

知らない窓から花火が見えた

 

砂で描かれた頼りない線の

その上を君と歩く光景を

ずっと夢みている

 

君の具合が治った時には

楽しいね なんて言わなくて良くなる

全て良くなるから

 

眺めなくていいニュースが流れ

有人電車の音が消えたなら

僕は何処にだって行けるような気がする

 

今夜は雲が消えるとの知らせ

 

君の具合が治った時には

楽しいね なんて言わなくて良くなる

全て良くなるから

 

知らない窓からの花火は

想像したよりとても綺麗だったから

だからこの涙は嘘じゃない

嘘じゃないし

君の所為でもない

 

 

不安、夜を迎える

 

鏡面に映る未来の影

窓の外の雨と重なり

 

夜を迎える、不安

知ってる貴方と一緒になることに

知らない痛みを覚えてしまって

 

冷え切る外気を誤魔化すように

意図して頬に息を吹きかける

まるでエアコンみたいだね、わたし

少し不器用なこの形

 

お伽話の裏側

見てる気分で

 

憂鬱の描き方

まるを描き

しかくを描いて

嘘だらけの光を消して

廻るプラネタリウムに落ちれば

きっと明日は良くなる筈

 

わたしは不安、夜と重なる

求めていたのは針ではなくて

 

わたしは不安、夜と重なる

この涙が枯れた頃には

棉の花が育ち咲くでしょう

 

無常且つ

 

無常

無常且つ巨大で

指先一つ齧り

影は飾り付き

 

瓶詰めされた希望だとか

音とかが

色付き始める頃合いに

君は居なくなるような気がする

 

季節は意図せず白く

わたしの央から飛び出た闇と

混ざりあったりする

足りないのは何色?

 

街は風雪により動く

わたしは誰かの為に動く

 

逃げ続けて、罪に問われ

それでも未だ赫く成らず

自ずと吐いた息は真白

同化し見えなくなり無常

 

街は風雪により動く

わたしは誰かの為に動く

誰だろうか?

思考は吹雪の央に消えた

 

Lunar mare

 

遅めの食卓

サヨウナラ、

迫る未来は気付かないほど

 

お弁当を作っておきました

あなたが明日

あなたが明日恐ろしいなにかに勝てるように

 

神さま

貰ったペンダント、

捨ててもよろしいでしょうか

サヨウナラは可能でしょうか

 

晴れの日は嫌い

「生きるな」って叫ばれてるような気がする

でも寂しくない

雨の日も嫌い

「殺せ」って囁かれているような

それでも寂しくなんてない

 

それでも、

 

お弁当を作っておきました

明日には

明日には応援に出掛けようと思います

 

月の海に向かう

オールを漕いで

ただ漕いでる

神さまのテレビ

チャンネルはそのままで

 

お互いに作用しサヨウナラ、

お互いに作用し、

サヨウナラと言い

迫る未来

 

晴れの日は嫌い

「死ね」って願われているような

でも寂しくない

雨の日も嫌い

「どうでもいい」とか思われているような

それでも寂しくなんてない

 

それでも、

砂の跡

 

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

未来は気付かないほどゆっくり

月の海にはうさぎがぴょん

Touch

 

Thermography

見せかけだけの服

 

夕暮れ

途切れ途切れ 

また夕暮れ

そしてまた途切れ途切れ

 

一緒に遊ぼ

ブランコに座った景色が

いつもより輝いてたって

 

夕日

指で押し込む

その姿

そしてまた渡り鳥が

 

Thermography

見せかけで笑うと青く光る

 

手を繋ごう

手軽に大人になった振り

聞こえなかった身振り手振り

空振り

 

自転車漕いでる

落日と追いかけっこ

このスピードに追いつけるかって

笑っているような気がする

 

通り過ぎた女の子

夏とか秋とかを持っていっちゃって消えてった